「ナンセンス」は「無意味なことやくだらないこと」を意味する言葉です。
日本の俗語として見たときに、「ナンセンス」の死語度は40%です。
1930年代に江戸川乱歩などの「エロ・グロ・ナンセンス」、1970年代に赤塚不二夫などの「ナンセンスギャグ」が流行しました。
本記事では「ナンセンス」の意味を解説して、現代では死語なのかを考察します。
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「ナンセンス」の意味を解説

「ナンセンス」の意味を解説します。
「ナンセンス」の意味
「ナンセンス」という言葉は、無意味なことやくだらないことを意味しています。
どちらかというと、ネガティブなニュアンスを持つ言葉です。
相手の考えや行動を、否定的に考えるときに使うことが多いからです。
たとえば、誰かが「意味がないこと」を言ったり、「やる価値のないことを提案」したときに、「それはナンセンスだ」と言います。
ほかにも、「起きる確率がほとんどないものについて議論する」のはナンセンスだ、といった使い方をします。
ただ「無意味」というより、少し皮肉やユーモアを含む表現としても使われます。
「このSNSはナンセンスなコメントであふれている」といった使い方です。
「ナンセンスギャグ」の流行

「ナンセンス」という言葉は、1930年代の「エロ・グロ・ナンセンス」、1970年代の「ナンセンスギャグ」の流行で、よく知られるよぅになりました。
エロ・グロ・ナンセンス
「エロ・グロ・ナンセンス」は「エロティックで、グロテスクな描写と、ナンセンスを組み合わせたもの」です。
エロティック
煽情的グロテスク
怪奇的ナンセンス
不条理、意味がない1930年代当時の文学や芸能に影響を与え、エロ・グロ・ナンセンスをテーマとする本や雑誌、新聞記事、楽曲などがブームになりました。
大恐慌が起こった1929年(昭和4年)頃から、2・26事件が起こった1936年(昭和11年)頃までの期間です。
1928年に江戸川乱歩の『陰獣』が雑誌「新青年」に掲載されたことで、猟奇ブームが巻き起こりました。
同年、夢野久作が『瓶詰の地獄』を発表しています。
「エロ・グロ・ナンセンス」のブームがピークを迎えたのは、『江戸川乱歩全集』が刊行された1932年頃です。
ナンセンスギャグ
「ナンセンスギャグ」は、ひとことでいうと「不条理なギャグ」を特徴としてます。
意味がよく分からない世界観を持つギャグが、作品にちりばめられています。
ハチャメチャな展開に意味不明なオチをつけながらも、そのシュールな笑いに、読者や視聴者は魅力を感じていました。
「ナンセンスギャグ」の特徴
- 意味不明
「ナンセンスギャグ」は、「突拍子もない展開」や「意味不明なオチ」が特徴です。
ツッコミもなく、ギャグの勢いだけで、そのまま進んでいく作品も多くあります。。 - シュールな笑い
「シュール」とは、現実ではありえない、不条理な様子や非日常的な様子、奇抜な様子、難解な様子を表す言葉です。
「ナンセンスギャグ」の「シュールさ」が、不思議と笑いを誘う効果があります。
理解不能な世界観の中で、毎回新たなギャグが繰り出されるのが魅力です。
「ナンセンスギャグ」の代表的な作品
- 天才バカボン
「天才バカボン」は赤塚不二夫の漫画で、ナンセンスギャグの代表作の一つです。
シュールで不条理な展開が特徴です。
赤塚不二夫は、落語家や立川談志や、タモリ、北野武とも仲のよかったギャグ漫画の作家です。
漫画の神様の手塚治虫や、石ノ森章太郎、藤子不二雄とも親交があり、当初は少女漫画の作家でした。
漫才師の松本人志も、赤塚不二夫との対談で、幼少期に強い影響を受けたと語っています。 - 諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画
1970年のデビューから現在まで、日本漫画界の異界をひた走る奇才です。
「諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画集・妙の巻」などの作品で読めます。 - セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」は、赤塚賞受賞作家のうすた京介の連載デビュー作で、ナンセンスギャグがちりばめられています。
ほかにも「ピューと吹く!ジャガー」などの作品もあります。 - 絶体絶命でんぢゃらすじーさん
「絶体絶命でんぢゃらすじーさん」は曽山一寿の作品で、ナンセンスギャグを多用しています。
「ナンセンス」の語源や由来を解説

「ナンセンス」の語源はフランス語の「nonsense」です。
1610年代に「non-(「~でない」)」と「sense(「意味」)」から派生しました。
英語圏では20世紀中盤以降、「non-sense」というハイフンつきの表現が使われるようになりました。
調べると、日本で「ナンセンス」という言葉が使われるようになったのは、大正時代です。
西洋では物の形骸に囚はれてゐればこそ、風景花鳥のやうなものでは ナンセンス であるやうに思ふのであらう、其實を曰へば、動物が同類の臭を相追うて相戯れ、口腹の慾と、性情の慾を離れられないやうに、動物的氣分に満ち満ちてゐるから、山水に清浄の身を感じ、柳緑花紅の難有味が分らず、動物園以外のものには、センスが無いものとして之を誹るもので、其智識の劣等さ加減、憫むべきではないか。
1930年代の「エロ・グロ・ナンセンス」や、1970年代の「ナンセンスギャグ」が社会に影響を与えました。
また1960年代のカミュの不条理な文学作品や、作家の筒井康隆などの影響もあり、1970年代頃にかけて「ナンセンス」が広く浸透していきました。
「ナンセンス」は死語なのか考察してみた

日本の俗語としての扱いの「ナンセンス」は、死語度は40%です。
日常的にはあまり使われる言葉ではありません。
理由は不条理に奥深さを求める社会的な風潮が薄れたからです。
社会的な使用頻度はかなり減っていますが、言葉としては残っています。
「ナンセンス」まとめ
本記事では「ナンセンス」の意味と、死語になっているかを考察しました。
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